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トラックの日常点検チェックリスト|タイヤ・ホイール編

大型トラックのタイヤ・ホイール周りを点検する整備担当者

トラックの日常点検では、タイヤの空気圧や損傷だけでなく、ディスク・ホイールの取付状態まで全輪を確認します。しかし、点検表の項目が「タイヤ・ホイール異常なし」だけでは、どの車輪をどこまで確認したのかが記録に残りません。

大切なのは、左右や前後を問わず、すべての車輪を同じ順番・同じ基準で確認することです。さらに、異常を見つけたときの報告先と、出庫を止める判断基準まで決めておく必要があります。

この記事では、トラックの足回りのうち、タイヤとホイール周辺に焦点を当て、運行前の日常点検で確認する項目、ホイールナットの打音・目視点検、タイヤ脱着後の増し締め管理、点検記録の残し方を実務向けに整理します。

この記事のポイント

  • 日常点検では、タイヤとディスク・ホイールの状態を全輪で確認する
  • 確認する順番を固定し、車輪ごとの確認漏れを防ぐ
  • ISO方式では、インジケータやマーキングによる目視を、ナットの緩み確認に用いることができる
  • タイヤ脱着後は、一般的に50〜100km走行後を目安に規定トルクで増し締めする
  • 点検表には、異常の有無だけでなく、確認者・報告・対応結果を残す
目次

タイヤ・ホイール周りの日常点検は、全輪確認が基本

大型車の日常点検では、タイヤの空気圧、亀裂・損傷、異状な摩耗、溝の深さに加えて、ディスク・ホイールの取付状態を確認します。ホイールナットの緩みだけを見ればよいわけではありません。

また、車輪脱落事故の発生割合が左右で異なっていても、点検対象を特定の車輪へ限定してはいけません。前輪・後輪、左右すべての車輪について、同じ確認項目を一輪ずつ実施することが基本です。

トラックのタイヤ・ホイール周りチェックリスト

点検表へ落とし込むときは、「タイヤ・ホイール」と一つにまとめず、確認する対象と異常のサインを分けておくと判断基準をそろえやすくなります。

確認項目 確認する内容 報告が必要なサイン
タイヤの空気圧 接地部のたわみ、空気圧不足の兆候、必要に応じた空気圧測定 いつもより大きなたわみ、左右差、指定空気圧からの外れ
亀裂・損傷・異物 トレッド面と側面の亀裂、損傷、釘・金属片などの異物 深い亀裂、コードに達する損傷、異物の刺さり、膨らみ
異状な摩耗・溝 偏摩耗、段減り、スリップサイン、内外の摩耗差 スリップサインの露出、極端な片減り、急な摩耗変化
ホイールナット・ボルト 緩み、脱落、損傷、ナット位置の変化、ボルト突出量の不揃い ナットの欠損・損傷、合いマークのずれ、突出量の違い
ボルト周辺 さび汁の痕跡、黒ずみ、摩耗粉、こすれた跡 新しいさび汁、放射状の汚れ、金属粉、異常な接触跡
ディスク・ホイール 亀裂、変形、リムの損傷、取付部周辺の異常 亀裂、変形、部品の接触、通常と異なる隙間
前回運行時の状態 異音、振動、操作感、においなど、前回運行時の違和感 ゴトゴト音、車体の振動、操作感の変化、焦げたにおい

確認漏れを防ぐため、点検する順番を固定する

全輪確認を安定させるには、ドライバーごとに回り方を変えないことが重要です。車両のどこから始めるかを社内で決め、毎回同じ方向へ一周します。

  1. 始点を決める:左前など、必ず同じ車輪から点検を始める
  2. 一輪ごとに確認する:タイヤ、ナット・ボルト、ホイールの順で見る
  3. 同じ方向へ一周する:途中で順番を飛ばしたり、左右を行き来したりしない
  4. 前回の違和感を照合する:異音・振動などの引継ぎ事項と車輪の状態を確認する
  5. 確認後に記録する:異常の有無、確認者、報告・対応結果を点検表へ残す

車軸数の多い車両やトレーラーでは、車輪番号を点検表へ記載しておくと、「どこまで確認したか」が分かりやすくなります。複数のドライバーが同じ車両に乗る場合も、同じ順番で確認できるようにします。

ホイールナットの緩みは、打音または目視で確認する

大型車のホイールナットとホイールボルトの緩みは、点検ハンマーによる打音などで確認します。ナットを叩いたときの音や、指へ伝わる振動がほかのナットと違わないかを比べます。

一方、ISO方式のホイールナットについては、インジケータやマーキングを用いた目視により、ナットの緩みを確認する方法へ置き換えることができます。合いマークやホイールナットマーカーの位置が前回から変化していないかを、一つずつ確認します。

国土交通省は、ホイールナットへのマーキングやホイールナットマーカーを活用した目視による点検方法を示しています。自社で目視方式を採用する場合は、正常時の形、異常時の判断基準、報告先を全員でそろえてください。

国土交通省「大型車の車輪脱落事故撲滅に向けて」

タイヤ脱着後は、50〜100km走行後を目安に増し締めする

タイヤやホイールを脱着した後は、走行による初期なじみで締付力が低下する場合があります。国土交通省の手引や全日本トラック協会の案内では、一般的に50〜100km走行後を目安に、トルクレンチを用いて自動車製作者が定める規定トルクで増し締めすることが示されています。

増し締めは、日付だけで管理すると実施時期を判断しにくくなります。交換日、走行距離、増し締め予定距離、実施時の走行距離、実施者を分けて記録します。

  • タイヤ・ホイールの脱着日と作業者を記録している
  • 車両ごとの規定トルクを取扱説明書などで確認している
  • 増し締め予定と実施結果を別の欄へ記録している
  • 外注作業でも自社の管理表へ脱着日と増し締め予定を残している
  • 増し締め後も、運行前の日常点検を継続している

全日本トラック協会「大型車(トラック)のホイールナット締付けトルク一覧」

点検表には「確認・報告・対応」を残す

点検表は、チェックを付けるだけで終わらせず、異常が見つかった後の対応まで追える形にします。少なくとも、次の欄を用意しておくと運行管理者や整備管理者が確認しやすくなります。

記録欄 残す内容
車両・点検日時 登録番号または車番、点検日、点検時刻
確認者 点検を行ったドライバーなどの氏名
車輪ごとの結果 全輪を確認したことが分かる記録
異常内容 位置、症状、前回との変化、写真など
報告 報告先、報告時刻、指示内容
対応結果 出庫停止、整備、再点検、運行可否の判断
脱着後管理 脱着日、増し締め予定、実施日・距離、実施者
国土交通省の日常点検表

社内の点検表を整える際は、国土交通省が公開している様式例も確認できます。

異常を見つけたら、自己判断で出庫しない

ナットの位置変化、ナットの欠損・損傷、さび汁、ボルト突出量の不揃い、タイヤの損傷などを見つけた場合は、「走れそうだから」と自己判断して出庫してはいけません。

報告先を運行管理者、整備管理者などに一本化し、誰が運行可否を判断するかを社内で決めます。前回運行時に異音や振動があった場合も、次のドライバーへ口頭で伝えるだけでなく、点検表や引継ぎ記録へ残します。

  • 異常を発見したドライバーが出庫を止められる
  • 報告先と運行可否の判断者が決まっている
  • 次のドライバーへ異常や整備結果を引き継げる
  • 応急的にナットを締めて運行再開する判断をドライバーだけで行わない
  • 整備後は、対応内容と再点検結果を記録する

ナットチェッカーを日常点検で使う場合

ナットチェッカーは、ホイールナットの緩みの兆候を目視で確認しやすくする点検補助具です。各ホイールナットについて、前回と同じ形状か、ずれや変形がないかを確認しやすくします。

ナットチェッカーは、規定トルクで締め付け、タイヤ脱着後の増し締めを行い、ナットが緩んでいないことを確認した後に装着します。ISO方式のホイールでは、ナットの緩み確認を打音から目視へ置き換える際に活用できます。

ただし、点検対象はナットチェッカーの形だけではありません。必ず全輪について、ナットの脱落・損傷、さび汁、ボルト突出量、タイヤとホイールの状態を確認してください。

ホイールナットの目視点検を現場へ取り入れたい方へ

対象車両の規格・ナットサイズ、装着方法、点検表への組み込み方を確認したい場合は、BESTRUCKへご相談ください。

点検運用・導入について相談する

自社の日常点検を確認する10項目

  • 運行前点検を全員が確実に行っている
  • 全員が同じ順番・同じ方法で全輪を確認している
  • タイヤとディスク・ホイールの確認項目を分けている
  • タイヤ脱着後の増し締め予定と実施結果を分けて記録している
  • ナットの緩みを打音または目視で確認する方法が決まっている
  • さび汁、異音、振動、違和感があった場合の報告先が決まっている
  • 複数ドライバーで乗る車両の点検基準がそろっている
  • 前回運行時の違和感を次のドライバーや管理者へ引き継げる
  • 点呼で日常点検と脱着後管理の実施状況を確認している
  • 異常時に出庫を止める判断基準がある

まとめ

トラックのタイヤ・ホイール周りの日常点検では、タイヤの空気圧、損傷、摩耗、溝だけでなく、ホイールナット・ボルトやディスク・ホイールの状態を全輪で確認します。

確認漏れを防ぐには、点検する順番と判断基準をそろえ、異常を見つけたときの報告先と出庫停止基準まで決めることが重要です。ISO方式でナットの緩み確認を目視へ置き換える場合も、日常点検全体を省略できるわけではありません。

また、タイヤ脱着後は、一般的に50〜100km走行後を目安に規定トルクで増し締めし、予定と実施結果を分けて記録します。日常点検、増し締め、異常時対応を一つの運用としてつなげることで、全輪確認を継続しやすくなります。

Q. トラックの日常点検では、タイヤ・ホイール周りの何を確認しますか?

A. タイヤの空気圧、亀裂・損傷、異状な摩耗、溝の深さに加えて、ホイールナット・ボルトの緩みや脱落、さび汁、ボルト突出量、ディスク・ホイールの損傷などを全輪で確認します。

Q. ホイールナットの打音点検は目視へ置き換えられますか?

A. ISO方式では、インジケータやマーキングを使った目視による緩み確認へ置き換えることができます。ただし、ナットの欠損・損傷、さび汁など、ほかの日常点検項目も確認が必要です。

Q. タイヤ交換後の増し締めはいつ行いますか?

A. 一般的に50〜100km走行後を目安に、トルクレンチを用いて自動車製作者が定める規定トルクで実施します。車両の取扱説明書や整備マニュアルも確認してください。

Q. ナットチェッカーを付ければ、日常点検を省略できますか?

A. 省略できません。ナットチェッカーはナットの位置変化を目視しやすくする点検補助具です。タイヤやホイールを含む全輪の日常点検は継続してください。


出典・参考資料

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この記事を書いた人

トラック・物流現場の安全管理、車輪脱落事故対策、日常点検、ホイールナットの緩み確認に関する情報を発信しています。国土交通省や業界団体の公開資料、現場での運用課題をもとに、運送会社・整備管理者・ドライバーが実務で使いやすい内容に整理しています。

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